子宮頸がんはHPVワクチンで予防できるがんです。ワクチン接種を早期に取り入れ、男性への接種も開始したオーストラリアや英国・米国でなどの国々では、HPV感染や高度前がん病変の発生が明らかに低下していることが報告されています。これらの国々では、集団免疫効果によりワクチン未接種の人のHPV感染も低下しています。
世界保健機関(WHO)は、撲滅された天然痘のように、子宮頸がんを世界から排除することを目標にしており、実行への戦略を発表しています。それによれば、2030年の時点でワクチン接種率90%、子宮頸がん検診受診率70%、十分な子宮頸がん治療90%が達成されれば、2085~2090年にはほぼ世界中で子宮頸がんが排除されたとみなせる基準に達するというものです。
(2020年2月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)