東京の一極集中
日本は少子化の進行により2008年の約1億3,000万人をピークに人口減少社会に突入しています。国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によれば、2060年において約9,000万人まで減ると予測されています。地方創生は、今後出生率を上げて1,000万人ほどの人口減少を緩和することにより、2060年に日本全体で1億人の人口確保を目指すものでした。
東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の転入超過数は1990年代後半以降プラスで推移し、近年再び増勢が強まっています。一方、三大都市圏である名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)と大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)でさえも、転出超過は6年連続となっています。地方創生の大号令にもかかわらず、東京一人勝ちが続いています。
東京圏への転入超過で注目されるのは、女性の転入超過です。戦後の東京圏への人口流入の高まりは高度成長期、バブル期、1990年代後半以降と三度みられますが、1990年代後半以降は、女性の東京圏への転入超過が多くなっています。この背景として、女性の高学歴化が考えられます。4年制大学進学率を見ると、その男女格差は1975年には28.3ポイント(男性41%、女性12.7%)でありましたが、1990年代に入って女性の同進学率が上昇し、2018年には男女格差は6.2ポイント(男性56.3%、女性50.1%)まで縮まっています。既に、4年制大学卒業生の就職数では男女がほぼ拮抗しており、人手不足が続く中、4年制大学を卒業した女性が企業にとって戦力の根幹になっています。
(Wedge February 2020)
(吉村 やすのり)