地方創生への道―Ⅲ

地域都市に求められるもの
地域の中心都市に集まった人口は、次に東京圏へ転出していきます。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によれば、2018年の東京圏への転入者は東京圏以外からが28万人にのぼります。そのうち名古屋圏と大阪圏からが7万人、三大都市圏以外の道府県庁所在地からが7万人を占めています。加えて、中心都市で目立つのは、25歳代以上の年齢層で流出が進んでいます。東京都区部における私立大学の定員管理の厳格化により、10歳代後半の東京圏への移動は抑圧されているものの、25~39歳では、名古屋圏は転入超過から転出超過へ転換し、大阪圏は転出超過が拡大しています。
人を引きつけるその地域特有の新たな産業が興らない限り、非東京圏の郊外部⇒地域経済の中心都市⇒東京圏というトレンドは今後も続きます。中心都市が、その地域ごとの特性やニーズにあわせて、近隣で作り出される農林水産物や工業製品に何らかの要素を加えて、新たな産業を振興する必要があります。
それぞれの地域が、東京圏とは違うオリジナリティ溢れるサービス業を振興し、日本人だけでなく外国人をも引きつけるようになることが必要です。それにより、各中心都市が人口の受け皿として機能し、東京圏への転出を抑えることができるようになるためには、非東京圏で4年制大学卒業の女性が望む仕事を創出するという視点も重要です。ミニ東京化しない工夫が地域経済の中心都市に求められます。

(Wedge February 2020)
(吉村 やすのり)

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