東京大学と総務省が行ってきた共同調査によれば、10代の依存傾向が近年急激に強まり、依存度の高い人が同世代の約2割に達しています。オンラインゲームでは、他人から注目されることが自分を確認することにつながります。また、SNS(会員制交流サイト)では、他人との絆が孤独の癒しとなります。そうした心理的報酬が依存を一層深めさせています。親が子どもに干渉しすぎたり、逆に無関心だったりして、家庭から満足感を得られず、学校生活もつまらないなど、依存を助長するのは、そんな不満や孤独だと考えられています。心の問題に向き合わず、杓子定規にルールで縛ろうとしても、根本的な解決にはなりません。
依存度を自己診断する尺度として長年使われてきたのは、米国の心理学者、キンバリー・ヤング氏が考案した基準です。利用時間の長さだけでなく、現実逃避にネットを使っているなど8項目中5項目以上当てはまれば、依存度が高いとみなされます。
ネットやゲームへの依存が強まると、ひきこもりや睡眠障害などにつながることもあります。専門外来をもつ医療機関は、近年、徐々に増えてきています。医療機関を受診しなければならないほど深刻化する前に、ブレーキをかけるための教育が必要となります。乳幼児期からの安定した親子関係が依存を防ぐとされています。時間規制だけでは、ネット依存症を直すことはできません。子どもがネットに依存する背景を広く社会で理解し、大人も子どもとともにスマホの上手な付き合い方を覚えていくことが大切です。
(2020年2月6日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)