内閣府の調査によれば、任期付きも含めた大学の常勤教員のうち、40歳未満の割合は1989年度には34.7%でした。しかし、採用時に研究業績や専門性を求める傾向が強まったことなどで下がり続けています。拍車をかけたのは、2004年の国立大学法人化です。国は教員の人件費など大学運営の基盤となる運営費交付金を減らし、競争的資金を増額しました。これを受け、各大学が任期がない教員の採用を抑制した結果、常勤の若手は激減、50歳以上の割合が増える結果になってしまいました。
若手のポストをめぐっては、博士号の取得者が企業に就職する割合が低いことも関係しています。国が1990年代から政策で大学院生を増やしたこともあり、博士号を取っても研究職に就けない、年齢が高くなるために就職もしにくいという例が多発しました。総務省などの調べでは、企業の研究者に占める博士号取得者の割合は、フランスが12%、米国が10%なのに対し、日本は4.4%に過ぎません。日本の研究力低下が問題になるなか、若手が活躍しやすい環境づくりが課題になってきています。グローバル化もあって、企業は、博士号取得者の力を借りないと将来がないと意識し始めています。企業の採用が増えれば、博士課程にも進学しやすくなってきます。
(2020年2月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)