電子たばこの規制

電子たばこは、香料の入った液体を電気加熱し、発生した蒸気を吸い込んで楽しむ嗜好品で、従来の紙巻きのようにたばこ葉を燃やさないため、有害物質が少なく、健康リスクを低減できるとして市場が拡大してきています。日本では、たばこの葉を熱して蒸気を味わう加熱式たばこが主流です。従来の紙巻きでは発生しなかった化学物質を吸い込むため、新たな健康リスクを指摘する声もあります。
英調査会社ユーロモニターインタナショナルによれば、世界の主要78カ国・地域を対象に実施した調査で、2009年に211万人程度だった電子たばこ人口は2018年に4,400万人と、20倍以上に拡大しています。一方、紙巻きたばこの人口は2018年に8億6,600万人と、2009年から1%未満の微増にとどまっています。

電子たばこを規制する動きが、アジアで広がってきています。中国政府は、2019年11月に電子たばこのオンライン販売を禁止する声明を公表しています。2020年1月にはフィリピンが課税を始めて、インドも規制に動きます。米国内で健康被害の報告が増え、条例による制限が相次いだことがきっかけとなりました。各国政府は主要な利用者である若年層の健康への悪影響を懸念して、先手を打っています。

(2020年2月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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