文部科学省は、法定の上限額がある国立大の授業料を各大学が独自に決める自由化の是非について検討を始めています。実現すれば、教員の獲得や研究費に充てる財源を確保するため、各大学が授業料を自由に引き上げることが可能になります。しかし授業料の引き上げが進めば、家庭の経済状況によって大学に進学しづらくなる学生が増える恐れが出てきます。
国立大の授業料は、省令で標準額である年53万5,800円が定められており、引き上げは2割が上限となっています。私立大や公立大にはこうした規制はなく、学校法人や自治体の判断で授業料を設定できます。これまで国立大は授業料の横並びを続けてきましたが、東京工業大が初めて、2019年度の入学生から2割弱値上げすると表明しています。東京芸術大など4校も続いています。各校は増収分を外国人教員の獲得など国際化への対応に充てることにしています。
(2020年2月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)