国の奨学金を運営する独立行政法人日本学生支援機構によれば、返済が必要な奨学金の利用者は、2017年度で約129万人にも達しています。大学・大学院などの学生のうち、2.7人に1人が借りている計算になります。2017年3月に貸与終了の大学生への平均貸与総額(有利子奨学金)は343万円で、月約1万4,500円の返済が20年間必要になります。
通常は卒業の半年後から返済が始まりますが、2017年度末時点の延滞は、返還者数の7.9%にあたる約33万6,000人で、延滞債権額は5,494億円にのぼっています。同機構の調査によると、延滞が続く理由は低所得の64%が最多でした。全国の自治体で奨学金の肩代わり制度が広がってきています。背景には、人口流出に悩む地方と、奨学金返済の負担にあえぐ若者の思惑が一致したという事情があります。
(2020年2月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)