米独の研究グループは、禁煙の映画館も、喫煙者らの服や体について持ち込まれた有害物質で充満しているとの調査結果を公表しています。たばこ10本分の受動喫煙に相当する濃度の有害物質があったとしています。たばこ由来のニコチンや有害物質は、喫煙者の髪の毛や衣類、部屋の壁やカーペットに残ります。それらが蒸発したり、舞い上がったりしたものを吸い込むことを、3次喫煙(サード・ハンド・スモーク)といいます。
研究グループは、ドイツの映画館の1室(1,300㎥)で、室内の空気を分析しました。24時間連続で週末の計4日間、有機物資35種類の濃度を測定すると、観客が入場する度に、アセトニトリルやアルデヒドなど有害物質の濃度が上昇していました。検出された有害物質の濃度を受動喫煙(2次喫煙)の濃度に置き換えると、ホルムアルデヒドであれば、たばこ1本分、ナフタレンは10本分に相当していました。換気システムはあるのですが、大人の割合が高い夜の映画で、特に濃度が高いことが分かりました。
完全禁煙の空間であっても、有害物質が2次喫煙と同等レベルの濃度まで上がり、3次喫煙が起こりうるとされています。
(吉村 やすのり)