抗ウイルス薬の開発

ウイルス感染症では、体内に入ったウイルスが細胞に侵入して増殖し、またほかの細胞へ侵入するサイクルを繰り返すことで、爆発的に増えてしまいます。体内の免疫システムがうまく対処できず、のどや肺、肝臓などで炎症が起きて様々な症状につながります。抗ウイルス薬は、ウイルスが細胞内で増殖する過程を食い止めて症状を改善します。増殖を防ぐ手法には幾つかの種類があり、薬によって異なります。細胞へのウイルスの侵入を防ぐ手法や、細胞内で自分自身を複製するのを防ぐ手法、複製されたウイルスが細胞の外に出て行くのを防ぐ手法があります。

インフルエンザ治療薬のタミフルは、ウイルスの放出を防ぎます。新型コロナウイルス感染症で効果が期待されるアビガンやレムデシビルは、ウイルスが細胞内で自身を複製する反応を食い止めます。ウイルスは種類が違っても、侵入や複製、放出の仕組みが似ている場合があります。こうした場合は、ある抗ウイルス薬が別のウイルスにも使えます。アビガンは新型インフルエンザ向け、レムデシビルは当初エボラ出血熱向けに開発されています。

(2020年3月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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