退職給付制度とは、従業員が退職する際に、企業が過去の労働の対価として給付金を支払う制度のことを言います。退職時に一度に支払う一時金制度と、何年かに分けて支払う年金制度に区分されますが、併用もできます。年金制度は、企業が従業員に給付額を約束する確定給付年金(DB)と、従業員がみずから運用する確定拠出年金(DC)に分けられます。
日本ではまず退職一時金が普及し、その後に企業年金制度が広がりました。かつては企業が国に代わって年金を支払う厚生年金基金などが柱でしたが、バブル崩壊後に運用成績が悪化し、やめる企業が増えました。これを受けて2001年に導入されたのがDBやDCです。運用が不調な場合に、業績への悪影響が出かねないDBから、DCに移行する企業も多くなっています。
日本では、従業員が1,000人以上の企業では7割が退職年金制度を導入しています。中小企業では導入していない企業も多くなっています。DBやDCは、一時金として受け取ることもでき、一時金を選ぶ人が多くなっています。しかし、老後の生活費を確保するため年金で受け取るべきだとの指摘もあります。
(2020年3月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)