嫁介護の現実

老いた両親の介護を息子の妻が担うことを、いわゆる嫁介護と呼びます。国民生活基礎調査によれば、同居する介護者のうち、嫁が介護を担う比率は減ってきています。介護保険が始まった直後の2001年は31%でしたが、2016年には16%になっています。子どもの配偶者に介護してほしいと思う人は少ないのですが、現実は介護は嫁の仕事という意識はなくなっていません。

 

介護保険制度は2000年に始まり、確実に介護の社会化をもたらし、昔に比べれば嫁による介護という感覚も薄れています。しかし、家族による介護を望む人は今も多く、家庭内でのケアは女性の役割という意識は根強いものがあります。地方を中心に、土地や家、事業などを相続することと引き換えにした嫁介護のケースも残っています。結果的に一定の割合の女性が、義父母の介護を担う状況に追い込まれてしまっています。

(2020年4月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。