OCはOral Contraceptivesの略で低用量経口避妊薬、一般にはピルと呼ばれています。現在ではエストロゲン量が低いために、低用量ピルと呼んでいます。一方、LEPはLow dose Estrogen Progestinの略で、成分は低用量ピルと同じです。LEP製剤は月経困難症などの治療薬として使用されています。OCは公的医療保険の対象ではありませんが、LEP製剤は保険適用が認められています。OCは施設によって価格は異なりますが、病院に支払う薬代はLEP製剤とほとんど変わりません。こうした違いがあるのは日本だけで、海外においては全ての薬剤がOCとして取り扱われています。
OCもLEPも卵巣からでる卵胞ホルモンと黄体ホルモンを合わせた薬です。通常は、これら2つのホルモンが卵巣から変動しながら分泌され、子宮内膜が厚くなり、受精卵の着床に適した状態になります。妊娠が成立しないと分泌は減り、子宮内膜がはがれて月経が起こります。OC/LEPを毎日1錠飲むことで、月経直後から、子宮内膜の増殖を抑える黄体ホルモンが作用することで、子宮内膜は厚くならず排卵が抑えられ、出血の量も子宮収縮による痛みも減ります。子宮内膜症の症状や進行を抑える効果も期待できます。ホルモンの変動が少なくなることで、胸や腹部の張りやむくみなどの月経前症候群の症状も和らぐことになります。
使い方は、自然な月経の平均周期に合わせて、28日をこれまでは1周期にする周期投与が国内では一般的でした。21日間あるいは24日間、1日1錠、毎日同じ時間に薬を飲み続けます。残り7日間あるいは4日間は、薬を休んで出血させます。しかし、休薬期間に頭痛や腹痛などに見舞われる人も少なくありません。欧米では、3~4カ月ごとに休薬期間をおく、延長周期投与や休薬期間をおかずに薬を飲み続ける連続投与が主流となっています。
日本でも、最長120日間飲み続けて4日間休薬するヤーズフレックスが2017年に、最長77日間飲み続けて7日間休薬するジェミーナが2018年にそれぞれ公的医療保険の適用となっています。子宮内膜症などによる月経困難症に苦しんでいる女性には、休薬期間のない連続投与が推奨されます。診療報酬改定により、今年度から医師が患者の同意を得たうえで、子宮内膜症などをホルモン剤で管理する場合の管理料も新設されています。
(2020年4月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)