1人で暮らす高齢者の増加や未婚率の上昇により、介護の現場でも着実にシングル化が進んでいます。50歳で配偶者がいない人は、介護保険制度が始まった2000年は、男性18.2%、女性16.3%でした。それが未婚率の増加を背景に、2015年にはそれぞれ男性30.2%、女性26.1%まで増えています。兄弟姉妹の数も減り、1人の子どもに大きな負担が集中する状況も生まれています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、高齢者単身世帯の割合は今後も増え続けることが予想されます。最近では、介護サービスや地域の人の助けを借りて、1人で暮らし続ける人も増えてきています。介護保険創設から20年経って、現場の経験値は上がっています。地域差はあるものの、24時間対応の訪問介護、看護、医療が整えば、おひとりさまでも在宅で死ねると言えるほどになってきています。もはや家族をあてにできない人が増えてきている現状では、地域ぐるみでの介護サービスの充実が必要となってきます。
(2020年4月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)