新型コロナウイルス感染症に対する診療報酬の倍増

新型コロナウイルスの感染者の入院治療にあたる病院を対象に、収入となる診療報酬を倍増させる特例措置が始まりました。重症患者を受け入れる病床が足りなければ、死者数が急増しかねません。厚生労働省は報酬上乗せによって重症患者の受け皿が増えることに期待を寄せています。診療報酬の上乗せは、感染が収まるまで実施します。新型コロナウイルスは指定感染症のため、入院費用は公費で賄われ、患者の自己負担は発生しません。
最も重点を置くのは、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)などを使う重症患者です。集中治療室(ICU)で治療した場合、現在は1日8万~14万円の入院料を1日16万~28万円に倍増します。ICU治療には手厚い人員配置が必要なことを踏まえ、別の診療報酬として1日1万円もつけます。重症ではないものの、鼻にチューブをつけるような酸素療法が必要な中等症の患者を治療した場合も、入院基本料への上乗せ額を従来の倍の1日1万9千円に増やし、別の診療報酬も1日2,500円つけるとしています。日本のICUの病床数は人口10万人あたり5床ほどに過ぎません。ドイツはその6倍、医療崩壊が起きているイタリアも2倍程度あり、日本でも、現状の病床数のまま重症患者が増え続ければ、集中治療の体制が崩壊し、死者が急増するのではと危惧されています。

(2020年4月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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