銀行を使った国際送金のコストは主要国のなかで日本が突出して高くなっています。日本は米国の3倍近くに達し、G20平均も大幅に上回っています。決済システムの高コスト体質が改めて示された結果になっています。日銀によれば、例えば銀行経由で200ドル(約2万1,500円)を自国から海外に送金する際に顧客が負担する手数料は、日本の場合2019年時点で送金額の17.5%でした。米国の6%強やG20平均の約10%を大幅に上回っています。しかし、銀行以外の送金事業者を使った場合の費用は、送金額の6.8%とG20平均並みでした。
背景には、日本独自の銀行インフラのコスト高や手数料体系の問題があります。多くの国際送金は、国際銀行間通信協会のシステムを通じて決済されます。この協会と日本の金融機関の接続システムが重層化しており、コストが膨らみやすくなっています。銀行内で国内の円資金の決済と、外貨決済を担う部署が分かれていることもコスト要因です。
(2020年4月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)