新型コロナウイルスは、RNAという遺伝子の鎖を1本持つRNAウイルスです。よく知られるDNAは2本の鎖が二重螺旋をなしているため、1か所に変異が起きても、もう1本の鎖の影響で元に戻りやすくなっています。これに対し、遺伝子の鎖が1本だけのRNAウイルスは、変異が起こりやすいと言えます。つまり強毒化する可能性も弱毒化する可能性もあります。弱毒化すれば我々の体内に残ります。わが国と欧米のコロナ禍による死亡率の違いは、ウイルスに遺伝子の変異が起きていることに起因するかもしれません。
ウイルスは、ヒトや動物など、他の生物がなければ増殖できません。遺伝子を複製して子孫を残せますが、遺伝子の複製などの生命活動を行うためには、宿主の持つたんぱく質を借りる必要があります。新型コロナウイルスは、感染症者に症状が出る前に他人にうつしてしまうので、知らないうちに広がってしまいます。世界のグローバリゼーションにより、生活圏が一つになったことにより、パンデミック現象が起こります。ウイルスが自分で広がっているのではなく、人間がウイルスを拡散しているのです。これまでヒトはウイルスと共生してきました。ウイルスに対峙するには、ワクチン開発が必要となります。新型コロナが終息したとしても、必ずまた新しいウイルスが登場してきます。
(吉村 やすのり)