コロナ禍での病院の収支

新型コロナウイルスの感染拡大が病院経営を圧迫しています。8割の病院で経営が悪化しています。院内感染を恐れて通院を控える患者が相次いだのに加え、病院側も感染を防ぐため入院を減らさざるを得ないという状況にありました。全国1,049病院の4月の平均損益は、約3,600万円の赤字で、全体の8割の経営が悪化しています。2019年4月の400万円余りの黒字から赤字に転落しました。収入が約4億円で前年同月比10.5%減です。病床の利用率は、2019年4月の82.2%から2020年4月は75.9%に落ち込んでいます。



東京保険医協会による4月のアンケートによれば、約1千の診療所のうち94%で外来患者が前年より減少しています。新型コロナ感染を恐れ、通常の生活習慣病の受診が減っています。受診を控える動きが続くと、必要な医療を提供できず、重症化を招きかねません。医療機関の閉鎖や縮小という悪循環に陥るリスクも膨らみます。ビデオ通話を活用したオンラインや電話による初診からの遠隔診療は時限的に可能となっています。しかし、実施できる医療機関は少数派です。直接の通院を避けたい患者は多く、こうしたニーズに早急に応える必要があります。

(2020年5月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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