アルコールをあまり飲まなくても生活習慣や肥満などによって発症する非アルコール性脂肪肝、21世紀の国民病ともいわれています。患者は国内で推定1千万人に達するとされています。肝硬変や肝臓がんに進行する前に早期発見・治療することが大切となります。アルコールをあまり飲んでいなくても、肥満などの生活習慣病が主な原因で発症する非アルコール性の脂肪肝は、約80%が良性です。しかし、残り約20%は肝硬変やがんに進行する恐れがあり、こちらを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼びます。
これまで肝臓疾患の主な原因は、B型・C型ウイルスなどによるウイルス性肝炎や、お酒の過剰摂取によるアルコール性肝炎とされてきました。近年、運動不足や栄養過多など生活習慣と関連がある非アルコール性脂肪肝が新たな疾患として提唱され、注目されています。肝臓病治療のメインテーマはウイルス性肝炎から、生活習慣病とも言える非アルコール性脂肪肝に移っています。
近年診断には、フィブロスキャンとMRエラストグラフィが用いられています。フィブロスキャンは、エコー検査などと同様に、肌の上にあてた小型測定器から肝臓に向けて超音波を出して肝臓の硬さを測定することができます。もう一方のMRエラストグラフィは、磁気共鳴画像診断装置(MRI)を使用します。腹部を振動させ振動波の伝わる速度の違いを利用して肝臓の硬さを分析します。
(2020年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)