SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本では持続可能な開発目標と訳されています。現在、世界中でSDGsの達成に向けた動きが活発化しており、多くの企業が積極的に取り組み始めています。背景にあるのは、ESG投資です。海外の投資家は投資基準として財務情報だけでなく、経営の持続可能性を重視し、環境(Environment)や社会(Social)、企業統治(Governance)に企業がいかに配慮しているかに注目しています。
ESG投資の始まりは2006年でしたが、2015年に日本の年金を運用する世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名したことを機に、日本でもESG投資の認知が広がりました。同年、SDGsが登場したことで持続可能な社会づくりの重要性が改めて世界で共有され、ESG投資への熱はさらに高まりました。
国内外の企業にとって、SDGsの重要性が高まっていますが、SDGs達成に向けた取り組みに熱心なのは、グローバルに活躍する大企業です。2019年度のSDGs達成度の国別ランキングによれば、日本は前年と同じ15位です。17項目の目標のうち、質の高い教育をみんなに(目標4)と産業と技術革新の基盤をつくろう(目標9)の到達度は評価されています。しかし、課題が指摘されているのは、ジェンダー平等を実現しよう(目標5)、つくる責任・つかう責任(目標12)、気候変動に具体的な対策を(目標13)、パートナーシップで目標を達成しよう(目標17)の4項目です。大手企業をはじめSDGs達成に積極的な多くの先進企業では、これらの課題を解決する取り組みが既に始まっています。
(2020年5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)