出生率の低下

合計特殊出生率は、その年の出産動向が将来も続いた場合に、1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数を言います。15歳から49歳までの女性を出産期と想定し、年齢ごとの出生率を割り出して合計します。若い年代の女性が多いか少ないかといった年齢構成の影響を取り除いており、過去のデータや海外との比較がしやすくなります。日本は他国との間の人口の移動が比較的少ないため、出生率で将来の人口規模が決まる部分が大きくなっています。死亡率を加味すると、日本の人口を維持するには2.07が必要とされ、人口置換水準といいます。
終戦直後の日本は4.0を超えていました。女性の社会進出などで1975年以降は2.0を割り込み、2005年に過去最低の1.26まで下がりました。近年は1.4台で推移していました。西高東低の傾向があり、沖縄や宮崎、島根など西日本の各県が上位を占めています。東京は最低の1.15です。
安倍政権は5月末に閣議決定した2025年までの少子化社会対策大綱で、子育て世代が希望どおりに子どもを持てる希望出生率1.8の目標を維持しています。中学生以下の子どもがいる世帯に配る児童手当の拡充などを掲げていますが、財源確保の目途は立っていません。

(2020年6月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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