日本人は、海外に比べて睡眠時間の短さが目立ちます。OECDの2018年の調査によれば、日本は加盟国中最下位の7時間22分です。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、平均睡眠時間が6時間未満の人が、2007年の29%から2018年は38%へ増加しています。米国の研究では、6時間睡眠が10日間を超えると、徹夜明けと同レベルまで集中力や注意力が低下するとされています。睡眠不足が蓄積すると、睡眠負債となり仕事の能率低下や大事故につながり、命にかかわる病気のリスクを高めることになります。
今回のコロナ禍で、睡眠時間が長くなったと答える人が増えています。夜型生活に移行した人が目立つなど気になる点もありますが、総じて働き方の変化により、睡眠時間が改善される傾向がみられています。人口減が進む日本では、働く一人一人の生産性の向上と、長く活躍できる健康づくりが大きな課題となっています。コロナ禍で社会が変わろうとしている今こそ、睡眠への意識を切り替えることが大切です。
(2020年6月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)