マンセッションとシーセッション

リーマンショックと新型コロナウイルスは、経済に与える影響が異なっています。リーマンショックでは、製造業や建設業、金融業など、男性の雇用が大打撃を受けたため、リセッション(景気後退)に引っかけ、マンセッション(男性の不況)と呼ばれました。コロナ禍においては、ソーシャルディスタンシングの措置で甚大な影響を受けたホテルなどのレジャー業、レストラン・バーなどの飲食業、アパレルをはじめとする小売業での雇用は、圧倒的に女性が多くなっています。そのため、今回のコロナ危機はシーセッション(彼女の不況)と呼ばれています。
今回のコロナ危機前の米国では、空前の人手不足により、労働人口に占める女性の割合が、今年初めて男性を上回っていました。しかし今回のコロナ禍で、失業率の上昇とともに、女性は労働市場からはじき出されやすくなります。これまでのダイバーシティー(多様性)への取り組みが水泡に帰してしまう可能性があります。コロナ禍による不況は、男女平等に大きな影響を及ぼし、景気回復が始まっても続くと思われます。
そもそも、こうした職種に就いている人の大半は低賃金労働者であるため、日頃から生活に余裕がなく、貯金も少ない女性が多いとされています。コロナ危機で、こうした女性の貧困や男女格差が拡大するのは間違いありません。

(吉村 やすのり)

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