新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全面的に解除され、保育園にも子どもたちの姿が戻ってきています。保育士らは、マスクの着用や行事の見直しといった感染予防策をとりつつ、こうした対策が子どもの発達の機会を損なうことにならないか、葛藤を抱えています。感染対策の徹底と、保育環境を守るという二つを両立する難しさが、現場の課題となっています。
むしろ大人の過度な心配は別の影響を及ぼしかねません。保育士の不安そうな態度や表情は、子どもにも伝わりやすいと思われます。子どもは環境の変化に合わせて自ら遊びを見つけたり、つくったりしようとします。想像力や遊ぶ力を信じてあげることが大切です。子どもにおける感染が少ないことからも、感染防止策の徹底による負の側面も考慮しなければなりません。子どもに感染が起こった際の報道にも注意が必要です。
(2020年6月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)