紙ベースの手続きを電子化し、複数の機関にまたがるやりとりを、まとめて完結させることを目指す国が多くなっています。わが国の行政手続のオンライン完結は1割以下であり、北欧に比べて極めて低率です。デジタル政策の旗振り役である経済産業省は7.8%、総務省でも8.0%と1割に届いていません。国土交通省は2.8%、農林水産省は1.3%です。
コロナ対応では在宅勤務を進める環境整備の補助金の需要が高まっています。経済産業省はIT導入補助金で申請をオンライン化していますが、会社の登記情報がわかる履歴事項全部証明書は、今も紙で入手する必要があります。電子納税証明書の使用も認めていません。遅れは緊急経済対策をもたつかせています。10万円の給付金は国民に配る際に混乱が起きました。自治体によっては、申請データを印刷し職員が目視で確認する作業が必要になりました。米国や欧州は、給付金を短期間で直接、国民の銀行口座に振り込んだり、中小企業向け融資を素早く実行したりとスピード感が目立っています。
(2020年6月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)