新型コロナウイルスの影響で、地域住民による高齢者の見守り活動が制約を受けています。担い手の多くは戸別訪問を自粛し、電話などでの安否確認を余儀なくされています。国勢調査によれば、2015年時点で65歳以上の人のうち、17%に当たる約592万人が一人暮らしでした。国は2020年に約702万人に膨らむと推計しています。見守り活動が停滞すれば、孤独死の増加を招く恐れがでてきます。
政府の専門家会議は、一人暮らしの高齢者への対応を、感染対策の長期化に伴う社会的課題と位置付けています。感染拡大防止に配慮しつつ、適切な支援が提供されるよう必要な措置を講じるべきだとしています。厚生労働省は、単身の高齢者などを見守る取り組みを強化した自治体を財政面で支援すると、各都道府県に通知しています。電話などで高齢者の様子を聞き取る取り組みを、行政や民間事業者、民生委員に求めています。
(2020年6年22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)