性的少数者の権利

2003年に性同一性障害特例法が成立して以来、様々な判決がなされています。1,400万人の人口を抱える都では、性的少数者は100万人以上にのぼっています。同性カップルの関係を公的に認知するパートナーシップ制度を導入する自治体は、都内の8区市に広がっています。同性のカップルの権利を広く認める流れは、この数年間で強まっています。自治体の間では同性パートナーシップの認証制度を設ける動きが広がり、保険や通信の分野では同性のパートナーを配偶者と同じように位置づけるサービスも増えています。

(2020年7月1日 朝日新聞)

しかし、これまでの裁判の動きからは、差別や偏見の解消に向けた動きが進んでいるものの、いまだ社会的な議論の途上にあり、同性の事実婚が社会通念とは言い難いとの判断が多くなっています。公的給付の是非を争う行政訴訟で、同性カップルを内縁関係と認めるハードルは依然と高いままです。しかし、遺族給付金など公的給付の対象は、法律上の婚姻関係から事実婚へ適用が拡大してきた経緯があります。今後同性カップルへの理解が広がれば、司法判断が変わる可能性は残されています。

(2020年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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