厚生労働省の雇用動向調査によれば、介護・看護を理由とした離職者は2018年で9万8,400人に達しています。女性は7万9,500人と全体の8割を占めています。介護・看護を理由とする離職率は、要職に就き始める40代以降の数値が高くなっています。今回、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、デイサービスを中心に休止や事業縮小が相次いでいます。今後第2波、第3波で同様の事態が起きた時にサービスをどう維持していくかが課題になってきます。
現状では女性に偏りがちな介護ですが、未婚率の高まりや共働き世帯の増加を背景に、男性も担うことになります。企業の介護者支援は、長期休業の仕組みよりも、テレワークや短い単位の休暇といった柔軟な働き方を今後も続けられるようにすることが重要になります。介護が始まるのは要職に就く年代のため、柔軟な働き方への罪悪感が強くなりがちです。
(2020年7月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)