政府が発表した5月の統計によれば、雇用は残業時間の削減が進み、給与が減る傾向が明らかとなりました。消費支出も、前年同月比16%減と過去最大の落ち込みを記録しています。残業代などを示す所定外給与は、1万4,601円と前年同月比で25.8%減っています。下げ幅は比較可能な2013年1月以来で最も大きかった4月からさらに悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業は残業時間を減らしています。働く時間が少なくなり、給与が減る傾向が鮮明になっています。残業など所定外の労働時間は、労働者1人平均で7.3時間と29.7%減っています。所定内労働時間も7.4%減っており、合計の総実労働時間は122.3時間で9%の減少でした。
総務省が発表した5月の家計調査によれば、2人以上の世帯の消費支出は25万2,017円と、物価変動を除いた実質で前年同月から16.2%減っています。比較可能な2001年以降で、4月に続き過去最大の落ち込み幅を更新しています。総務省によれば、全国調査を始めた1963年以降でも最大の減少幅です。前年実績を下回るのは、消費増税をした2019年10月から8カ月連続です。
(2020年7月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)