子どもは、新型コロナウイルスに感染しにくく、感染しても重症化はまれです。厚生労働省の調査によれば、7月1日時点で、1万8,512人の陽性者数のうち、10歳未満は1.6%の306人、10代は2.5%の469人、米国でも、0~4歳の患者が全体の1%、5~14歳が3%です。韓国では、10歳未満が同1.54%、10代が5.6%でした。
感染しにくい理由として指摘されているのが、ウイルスが細胞に感染する際の入り口となるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)というたんぱく質です。新型コロナウイルスは細胞の中に入り込む際に足場として利用しています。子どもの鼻の粘膜におけるACE2の発現量が、大人に比べて少ないと考えれられています。
子どもが感染したり重症化したりしにくいことや、子ども同士での感染拡大が少ない理由から、学級閉鎖の効果については慎重な見方が出ています。日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は、子どもの感染例が少なく重症化がまれなことを挙げて、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しいなどとする提言をまとめています。今後の学校などの閉鎖は、全国レベルで一律にする、しないというのではなく、どの地域でどのタイミングでどの規模の閉鎖をすべきかを、地域や学校レベルで判断すべきです。
(2020年7月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)