博士課程の大学院生は、学生であると同時に、研究員として実験などにあたっています。文部科学省の調査によれば、博士課程在籍者のうち、所属する研究室などから年180万円以上の生活費相当額を受け取っているのは、全体の10.4%にすぎず、受給無しは52.2%と半数を超えています。こうしたただ働き同然の環境が敬遠され、日本では博士課程への進学者は2003年に約1万2,000人でしたが、2018年には約6,000人に半減しています。
現在わが国では、博士人材が不足し、研究開発力の先細りが懸念されています。そのため、政府は、博士課程の大学院生に対する生活支援の強化に乗り出します。国などの審査を経て支給される競争的資金と呼ばれる研究費の一部を、博士課程在籍者の生活費に充てる方向で、16日の総合科学技術・イノベーション会議で、公募要領を改正します。
(2020年7月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)