三重県の鈴木英敬知事は、LGBTなどの性的少数者の権利を守るための条例を制定することを表明しています。性的少数者であると強制的にカミングアウトさせることやアウティングの禁止を盛り込む予定です。アウティングとは、好きになる相手が同性か異性かといった性的指向や、自分の性別をどう認識するのかという性自認など、性に関する情報を本人の同意なく誰かにばらしてしまうことです。
2015年には、同性愛者であることを友人に明かされた大学院生が自殺するという痛ましい事件が起こりました。アウティングを禁止する条例は、その大学がある東京都国立市で、2018年に全国で初めてできましたが、都道府県では初めてです。三重県が率先して条例を作ることで、他の地域でも取り組みが進むことが期待されます。性的指向や性自認は多様であるという共通の認識が広がって、誰もが自分らしく安心して暮らせる社会になることが期待されます。
(2020年7月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)