国民医療費の増加

一定期間の給与の平均である標準報酬月額は、10年ほど前と比べてほぼ横ばいですが、対照的に健康保険料は増えています。1人あたりの年間保険料負担は、2018年度に49万3,854円と2008年度の38万6,038円から約28%も増えています。2022年度には54万8,620円と50万円の大台も超えるという見通しです。現役世代と企業の負担は確実に重くなってきます。
厚生労働省によれば、国民1人あたりの医療費は、30~34歳が年12万8,000円だったのに対して、後期高齢者である75~79歳となると78万2,800円に跳ね上がっています。今後、後期高齢者が増えていけば、国民1人あたりの医療費は増えていきます。また、高額の医薬品や機器など医療が高度化していることなども費用増加の要因です。
後期高齢者の自己負担の割合を、負担能力のある人につき現在の1割から2割に引き上げることが検討されています。医療費の増加は高齢者の頻繁な受診も一因です。新型コロナウイルスへの懸念から、受診を控える動きが出ています。受診を控えても重症化などの弊害があまり起きないとすれば、平時に必要以上の受診行動があった可能性があります。今後は、診療科目ごとに検証が必要となります。

 

(2020年7月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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