新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は、計1,001人となりました。7月に入ってから、新規感染者は急増していますが、比較的症状が軽い若年層への感染が目立ち、重症化して死に至るケースは少なくなっています。1日あたりの死者数が最も多かったのは5月2日の31人で、この日に合計500人に達しました。死者の8割近くは70歳以上でした。
死者が確定されるペースは明らかに鈍化しています。また、現在の感染者は若者が多く、厚生労働省によれば、重症者は20日午前0時で47人と、医療機関が逼迫する事態ではありません。しかし、若年層から重症化しやすい高齢者らへの感染も懸念されます。重症者が増えた時に備えて、軽症者向けの宿泊施設の確保が必要となっています。新規感染者数の増加と、メディアも不安を煽るだけではなく、重症者や死者が少ないことを報道すべきです。
わが国の致死率は4.4%であり、陽性者に占める死者の割合は世界平均と同じです。しかしわが国は、まだ人口あたりのPCR検査数が諸外国より圧倒的に少ないことを考え合わせると、死亡者数は少ないといえます。無症状も含めた実際の感染者に対する致死率は、もっと低いと思われます。大半の死因である肺炎は、高齢ほど亡くなる割合が高いため、高齢者ほど致死率が上がります。これまでわが国の介護施設における死亡率は、海外に比べて低率のままであり、高齢者施設における感染防禦の徹底が死亡者数の減少に大いに寄与しています。高齢者が多い介護施設や病院内で感染が広まると重症者や死者が増えるので注意が必要です。
(2020年7月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)