地方の医師不足解消

地方の医師不足は、2004年に医学部卒業後の2年間の臨床研修が義務化され、深刻化しました。研修先が大学病院以外の病院にも広がり、大学病院で研修を受ける医師が減少しました。大学医局に所属する医師も減り、医局を通じた地域の病院への医師派遣機能が縮小しました。
厚生労働省は、都市部に医師が集まる偏りが原因とみて、偏在是正に取り組んでいます。医師偏在の度合いを示す指標として、患者の流出入などを考慮した人口10万人あたりの医師数を算出しています。都道府県単位でみると、医師数の下位3分の1が医師少数とされ、新潟や岩手、青森など16県が当てはまります。一方、東京、京都、福岡など上位3分の1にあたる16の都府県が医師多数とされています。最も少ない新潟・岩手は172.7人で、東京都の332.8人と倍近い差があります。この差を2036年までに最小限に抑え込むのが目標です。
全国の医学部では、都道府県が医学生に奨学金を貸し、医師免許取得後も地域に残れば奨学金の返還を免除する地域枠を設けています。厚生労働省は、若手の医師に医師少数の地域で一定期間の勤務を義務付ける仕組みも検討しています。職業選択の自由の観点から、強制配置は困難ですが、何らかの資格要件に追加するなどが想定されています。

(2020年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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