女性の管理職比率
2003年に小泉内閣は、国会議員や企業の管理職などに就く女性の割合を30%程度にするという目標を作りましたが、現在もなお達成できていません。このため、政府の会議で、新たに2020年代の可能な限り早期に30%程度を目指すという目標案が示されました。
欧州においては、衆議院議員や企業の管理職に占める割合は、ともに1割ほどです。欧州など、ほかの先進国は3~4割に達しています。国連は、2030年までに完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会の確保を目指しています。議員選挙では、120以上の国が、候補者や当選者についてどちらの性も40%を下回らないなどと法律で定めたり、政党がルールを作ったりしています。こうしたクオータ(割り当て)制を企業の役員について採り入れている国もあります。
自主的な取り組みだけでは限界があります。しかし、クオータ制は必ずしも万能ではありません。役員のクオータは、役員レベルにしか効果を及ぼしません。クオータによるトリクルダウン効果は起きないことが多く、男女の賃金格差の解消、女子学生のキヤリア志向といった認識可能なインパクトは確認できなこともあります。
女性活躍推進のための諸手段が浸透した半面、近年女性活躍に着手した企業では、形だけの取り組みが先行し、その意義に対する社員の納得感が得られていないことが多くなっています。現在のボトムアップ型の取り組みにより、自主的に新卒の女性採用比率を3~4割にして機械均等が進めば、30年後に役員層も含め全ての階層で女性比率が3~4割になるでしょう。しかし、残念ながら現在の欧州企業と同じ役員比率に達するには30年かかることになります。
(2020年7月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)