ポストコロナ禍の大学運営―Ⅳ

大学の統合
名古屋大学と岐阜大学が、この4月に統合して国立大学法人東海国立大学機構となりました。一つの法人の傘下に複数の国立大学が入るという全国初の経営形態です。
一法人複数大学制度は、2019年5月に改正国立大学法人法が成立したことで可能となりました。目的は国立大学に、時代の進展に合わせた研究や高度教育とともに再編・統廃合による効率的な経営を進めてもらうことにあります。これまでの大学統合とは異なり、各大学の存続が認められ、設立からの歴史で培ってきたブランドや特色を継続できるのが特徴です。一つの法人に複数の大学が傘のようにぶら下がることから、アンブレラ方式とも呼ばれています。
名古屋大学と岐阜大学が一体になることかで、特に研究分野の強化が進みます。大学の研究室には、医学や情報工学といった分野だけでなく、基礎研究や応用研究といったものにいたるまで、得意分野や特色がそれぞれ存在します。機構は、分野を超えて両大学が連携し、質の高い最先端の研究を進めます。名古屋大学・岐阜大学に続き、静岡県と奈良県では2021年度、北海道でも2022年度からアンブレラ方式の導入が予定されています。18歳人口が減少していく中で、国立大学のスリム化を図りながら、県境を超えた再編を行い、世界に誇れる研究分野を増やすことができるのかが問われています。

 

(Wedge August 2020)
(吉村 やすのり)

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