日本が消滅可能国家になる

総務省が、8月5日に発表した日本人の人口は、今年の1月1日時点で1億2,427万1,318人です。前年から50万5,046人減り、減少幅は1968年の調査開始以来、最大です。中核市規模の都市が丸々消えたことになります。社会の中軸となる15~64歳のいわゆる生産年齢人口は、日本人全体の6割を切り、過去最低を更新しています。6年前、全国の市区町村の約半数が消滅可能性都市と位置付けられましたが、現在でも各地で集落は消え続けています。世界に先駆けて急激な人口減少と少子高齢化に直面している日本は、極限状況に立ち向かう限界先進国です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2045年に日本の総人口は1億642万人となり、2015年から約16%減少します。4割以上人口が減る市区町村は、688自治体、約41%にも上ります。若者を中心に大都市へ人口が流出し、地方の出生数を押し下げる構図は変わっていません。
わが国の人口減少と少子高齢化の危機は、コロナ禍でさらに深まります。コロナは、人口密集社会の脆弱性を浮き彫りにしました。出生率が高い地方から、低い首都圏への人口流出を食い止められず、東京一極集中の結果、少子高齢化は加速します。コロナ禍でテレワークが進み、ビジネス面でも地方分散が現実味を帯びています。これは極端な東京一極集中を改める転機になります。集中から分散へ、日本列島の姿を今回の感染症は、根本から変えていく大きなきっかけにしなければなりません。

(2020年8月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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