日本経済新聞の調査では、アフターコロナの働き方として何に期待しているかを尋ねています。回答者570人の79%にあたる217人が、非効率な業務の見直しを選んでおり、従来型の官僚的な組織運営に疑問を感じていることがうかがえます。年功序列の見直しなど米国流の働き方への移行を望んでいる人は、相対的に少数でした。非効率的な仕事を減らすとか、時間管理を見直すのは人事の根幹であり、社員のマインドの変化を働き方に反映させていくのは経営者の役割です。
都市に職場と住居がある前提でどのような職住環境が望ましいかについては、郊外に住み、郊外のオフィスに通勤するとの回答が全体の69%を占めています。在宅勤務中に満員電車での通勤に疑問を持った人が多く、また都市部の自宅では仕事をするスペースが確保しにくいという事情を反映しています。テレワークやオンライン会議を経験したことで、都市部にいなければという意識はだいぶ変わってきています。東京にオフィスがないと仕事が進まないという地方企業のデメリットは薄れてくるだろうし、大きな構造変化が起きるかもしれません。
(2020年9月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)