社会保障費給付費は、2018年度の年121兆円から、高齢者人口がほぼピークを迎える2040年度には、年190兆円に増えると推計されています。安倍首相も2度の消費増税に踏み切り、国の消費税収は、第2次政権発足前から年10兆円程度増えました。税率10%時には増収分の使い道を変更して教育や保育の無償化に使い、現役世代にも恩恵が及ぶようにしています。
団塊の世代が、2022年から75歳以上になり始め、社会保障の給付費は、2018年度の121兆円から、2025年度は140兆円に膨らむ見通しです。社会保障の安定財源を確保して、将来世代への負債の先送りをなくす道筋は見えません。消費増税の封印を解くのか、他の税に財源を求めるのか、借金に頼るのか、税制も含め給付と負担の全体像を抜本的に見直し、社会保障の未来図を示す必要があります。
(2020年9月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)