新型出生前遺伝学的検査の今

新型出生前遺伝学的検査(NIPT)は、妊婦から採血し、胎児の染色体異常を調べるものです。検査料金は施設によって異なりますが、平均的には14万~16万円程度です。公的医療保険の対象ではないため、全額が自己負担です。NIPTは採血だけで済むことから、妊婦への身体的なリスクを伴わないのが特徴です。
現在、日本医学会や日本産婦人科学会などの指針に沿い、専門家によるカウンセリングなどの体制を整えている医療機関に限って検査が認められています。これまでに日本医学会に認定されたのは大学病院など109医療機関です。しかし、学会の指針に拘束力はないため、認定外の施設が増えています。厚生労働省が今年7月に発表した実態調査では、非認定施設は54か所あり、そのおよそ半数が専門外の美容外科や皮膚科でした。そのため、カウンセリングを行っていない施設が多いことが問題視されています。無認可施設で検査を受けたクライエントが、十分な説明を受けないで結果の判断に困惑するケースが多くみられます。
厚生労働省は今秋にもNIPTのあり方について議論する検討会を設けることにしています。一日も早く、国の指針の策定が望まれます。

(2020年9月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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