結核にかかっていると判明した患者の数が、昨年に比べて1割あまり少なくなっています。結核は、結核菌に感染することで肺炎などが起きる病気です。結核菌は患者のせきやくしゃみなどの飛沫に含まれ、細かい飛沫核となって空気中に飛び散り、これを吸い込むことで感染します。新型コロナとは異なり、空気感染で発症します。しかし、健康な人であれば免疫の働きで菌を抑えこむことができ、結核を発症するのは、感染した人の1~2割といわれています。
今年1月から7月にかけて登録された患者は6,392人で、前年の同じ時期に比べて16%少なくなっています。新型コロナへの対策としてマスクをしたり、身体的な距離をとったりしたことで、感染が減ったようにも見えます。しかし、受診控えや健診の中止などで、診断に至っていない影響の方が大きいと考えられています。
結核は空気感染するため、患者を受け入れる病院の結核病床は、中の空気が外に漏れないようにするなど設備が整っています。そのため、新型コロナが全国で急拡大した2月以降、結核病床をコロナの患者用に切り替えるケースが増えています。結核病床をコロナ用に転用する今の状態は、まだしばらく続きそうです。それだけに、結核にかかっても入院せずにすむようにすることが、普段以上に重要になってきます。
そのため、まずは早期発見が大切となります。結核は現在では治療法も確立し、治る病気です。発症しても、検査で菌を出していないことが分かれば通院で大丈夫です。
(2020年10月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)