三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によれば、新型コロナウイルスの感染拡大により、貧困世帯の子どもが大きな影響を受け、教育格差が拡大しています。コロナ禍で、親の雇用や所得が不安定になると同時に、休校で教育の機会が奪われるためだと考えられています。コロナ禍は、もともと不安定な就業形態だった非正規や自営の労働者に大きな影響を与えています。低所得の世帯ほど、月収が減っています。
新型コロナウイルスの感染が拡大した2月以降に就業状況に変化があったか聞いたところ、男性の非正規社員のうち26.2%が離職・転職したと回答しています。正社員や役員(3.4%)の8倍です。また、今年1月から5月にかけての世帯月収につて減少したと答えたのは、年収200万円未満では16.4%だったのに対して、年収1千万円以上の人は1割未満で、低所得な人ほど収入が減少した人が多くなっています。
コロナによる休校でICT機器のニーズが高まりましたが、年収400万円未満の世帯やひとり親世帯では、約3割がパソコンやタブレット端末を持っていないと回答しています。臨時休校前後で、1週間あたりの総勉強時間を尋ねると、成績が低い子どもは、勉強時間が36時間から18時間に半減しています。休校前に成績が良かった子どもは、休校後の下げ幅は小さく、臨時休校によって格差拡大に拍車がかかっています。
(2020年10月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)