日本郵便の正社員と契約社員の待遇格差の是非が争われた訴訟の最高裁の判決では、契約社員に扶養手当や夏期冬期休暇などが与えられないことを不合理な格差に当たると判断しています。結局、5種類の手当・休暇の全てについて、労働契約法旧20条が禁じる不合理な待遇格差があったと認定し、非正規側の主張が全面的に認められました。10月13日に判決が言い渡された賞与と退職金を巡る訴訟では、待遇格差を容認する判断を示し、手当・休暇とは異なる結論となりました。
今後企業側は、非正規従業員に納得がいく説明をすることが一層求められます。企業は、正社員側と非正規従業員側の双方と対話に基づく制度の見直しを重ね、不合理さが生じる余地を減らす努力が欠かせなくなります。人材を確保し競争力を高めるためにも、企業は引き続き、合理的説明のつく待遇体系を整えることが求められます。
(2020年10月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)