わが国の摂食障害の医療体制

厚生労働省の調査によれば、2017年度に摂食障害で全国の医療機関を受診した患者は21万3,212人にも達しています。拒食で体重が極端に減る神経性やせ症では、低栄養や自殺などで1割ほどが死に至るとする研究結果もみられています。治療体制が整う海外の先進国に比べ、日本の状況は大きく遅れています。体重の変化が大きい子を学校が注視し、医療につなぐ仕組みも整う米国などに比べ、日本では社会的理解も遅れ、当事者が孤独に追い込まれやすい環境があります。
内科、精神科、心療内科、小児科のそれぞれで病態の理解や優先する治療方法が異なるうえ、痩せることによる身体への合併症や精神症状があわさる難しさもあり、患者数に対して積極的に治療にあたる医師数が不足しています。国は、2014年度に摂食障害全国基幹センターを設置しました。2015~2017年には千葉の国立国際医療研究センター国府台病院のほか、福岡、静岡、宮城の3県に治療支援センターが置かれ、相談対応や医療機関への紹介を担うようになっています。昨年4~11月の8カ月間に4センターで計1,085件の相談を受けています。

(2020年10月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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