iPS細胞による視細胞移植

神戸市立神戸アイセンター病院は、他人のiPS細胞から目で光を感じる視細胞を作り、目の難病である網膜色素変性の患者に初めて移植したと発表しました。臨床研究として実施し、現在までの経過は順調です。今後約1年かけて安全性や有効性の検証を進めます。iPS細胞を使う再生医療で目の病気を手術したのは3件目です。
研究チームは、京都大学iPS細胞研究所が備蓄しているiPS細胞をもとに、視細胞の元になる未熟な網膜の組織をつくってシート状にし、患者の目に移植しました。移植した細胞は目の中で成熟して視細胞となり、脳に向かう神経とつながれば、光を感じられるようになることが期待できます。
移植を受けたのは、光を感じる網膜の視細胞が正常に機能しなかったり、なくなったりすることで、暗い場所で見えにくくなったり、視野が狭まったりする網膜色素変性の60代の女性です。失明のおそれもあり、同じ病気の患者は国内に約4万人いますが、いまのところ確立した治療法はありません。

 

(2020年10月17日 朝日新聞、日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。