胃がんの内視鏡下手術

胃がんの治療は、手術、ESDなどの内視鏡治療が主体となります。手術の手法では、お腹を切り開く開腹手術に対し、傷口が小さい腹腔鏡手術の割合が高まっており、手術全体の6割を占めています。この手術は、腹部に小さな穴を数か所開け、カメラや切除器具を入れて行います。2018年から保険適用となった手術支援ロボットを用いて腹腔鏡手術を実施する病院も増えてきています。近年は、胃の上部や下部などに切除範囲を限定し、胃を部分的に残す手術が増えています。手術では、確実にがんを取り切るために、胃の周囲のリンパ節も取り除くのが標準的です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの内視鏡治療は、がんが胃の内側の粘膜にとどまり、リンパ節に転移している可能性が極めて低い、ごく早期が対象です。口から入れた小型カメラで胃の内部を確認しながら、先端の電気メスで、がんや周辺の組織を剝ぎ取ります。胃の形状が保たれるので、手術に比べ、身体への負担も少なく済みます。ただし、治療後の病理検査の結果で、追加手術が必要になることもあります。
2020年に胃がんと診断される人は、13万5,100人に上ると予測されています。がんの部位別に見ると、大腸がんに次いで2番目に多く、男性が患者の約7割を占めています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、受診を控える高齢者もいます。しかし、胃がんは比較的進行が速いので、早期発見が大切です。できれば年に1回、内視鏡検査を受けることが必要です。

(2020年10月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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