文化庁は、城や寺院、古民家といった木造建築物の劣化をAIが点検するシステムの試験運用を始めます。自治体職員らが撮影した画像を基に、劣化の程度をAIが判定します。人手不足などで点検が行き届かずに破損したまま見過ごされるのを防ぎ、効率的な維持管理につなげる狙いです。
デジタルカメラや小型無人機ドローンで撮影した画像をシステムに送信します。特に傷みやすいかやぶき屋根や柱の状況を中心にAIがチェックし、鳥獣被害や雨などによる劣化の程度を判定します。現在は、破損箇所の画像から劣化の傾向などをAIに学習させています。
文化庁は、今後劣化状況の把握だけでなく、修復が必要な箇所をAIが特定することもできるようにしたい考えです。データを蓄積することで、あと何年程度で修理が必要となるかをAIが判定できるようにもなるとされています。画像に加えて、瓦をたたく音の響きを記録して、AIが状態を確認できるかどうかも検討を進めます。
(2020年10月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)