ニッセイ基礎研究所の分析によれば、コロナの人的被害と経済損失の総合評価を算出したところ、欧州諸国が軒並み下位に沈んでいます。世論に配慮し、行動規制の緩和を急いだことが感染再拡大の背景にあります。日本をはじめ多くのアジア諸国は、上位に位置しています。
中国がコロナ封じ込めに成功する一方で、欧州や米国では新規の感染者が急増しています。国家の意志で国民に同じ方向を向かせることができる強権国家と異なり、民主主義国家は違う方向を向く自由も尊重せざるを得ません。民主主義の劣勢にも見えますが、民意を反映しない強権体制は危うさも抱えています。
(2020年10月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)