幹細胞から次世代薬

武田薬品工業は、体内に存在する脂肪組織より間葉系幹細胞を採取し、細胞医薬を生産し、国内で実用化する予定です。対象疾患は、腸などに原因不明の炎症や潰瘍ができる難病クローン病です。腹痛や下痢、血便などの症状が表れ、若年層に多く、国内の患者は4万人以上いるとされています。幹細胞からつくる細胞医薬はダルバドストロセルと言います。
幹細胞には免疫機能を調整するたんぱく質の発現を促す性質があります。ダルバドストロセルを投与することで、炎症を抑える細胞が増え、炎症を引き起こす細胞が減ります。患部の状態が良くなり、患者の細胞が再生するのを手助けするとされています。細胞医薬は鮮度が求められ、ダルバドストロセルは製造後72時間以内に投与する必要があります。細胞医薬はiPS細胞など新技術の普及で今後利用が広がるとみられています。

(2020年10月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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